はじめに
「それはこのくらいの価格が相場です」──そんな“言い値”に困った経験はありませんか?
調達・購買担当が価格交渉で主導権を握るには、相手の見積もりを分解して『根拠ある指摘』ができる力が必要です。
本記事では、VE的視点を取り入れながら、「購買交渉に使える原価の基準知識」を紹介します。
見積りを“解体”して交渉を有利にする
要素 | 質問例 |
材料費 | 本当にこのグレードが必要ですか?板取りは最適ですか? |
加工費 | この工法は効率的ですか?一体成形で代替可能では? |
工数 | 冶具を使えば短縮できませんか? |
利益 | 利益率は業界平均と比べてどうですか? |
実務で使える3つの原価目安知識
① 工法ごとの加工費レンジ(1工程あたり)
- プレス打ち抜き:5〜20円
- NC切削加工:100〜300円
- 溶接(1点):80〜150円
- 射出成形(1ショット):20〜60円
「NC加工で500円!? それ高すぎますよ」などと判断可能に
② 材料費のグレード差と歩留まり
- SUS304 vs SPCC:単価が倍近く違う
- アルミ押出材 vs 切削材:廃材率が20%以上違う
材料は単価だけでなく「使い方」で大きく差が出る
③ 利益率の相場観
- 一般加工業者:5〜20%
- 精密部品メーカー:20〜30%
- 海外OEM:10〜15%が多い
利益は交渉可能。「調達ボリュームを増やす代わりにマージン調整を」などの提案が有効
まとめ
購買交渉は「高い・安い」ではなく、「なぜその価格か」を根拠で問う力が求められます。
VEや原価企画の基礎知識を持つことで、言い値から脱却し、“交渉の軸”を手に入れることができます。
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