調達改善⑤ ロングテール発注をまとめて安くする“集約購買”の方法

はじめに

「年間発注件数は多いのに、コスト削減効果が見えない」 「一品一様の少量発注ばかりで、管理も大変」

こうした悩みは、多品種少量の部品を扱う製造業にとって日常茶飯事です。 この“ロングテール発注”を見直し、「まとめる力」でコストと手間の両方を削減するのが、集約購買です。

本記事では、ロングテール発注の問題点を洗い出し、集約によるコスト改善の進め方と事例を紹介します。


ロングテール発注とは?

  • 発注金額は少ないが、点数や件数が多く、管理に負担がかかる部品群
  • 例:治具、スペーサー、ネジ、カバー、小型電装品など
  • ABC分析でいう「Cランク品目」に該当する

問題点

  • 1件あたりの単価が高止まり
  • 発注や納期フォローの業務負荷が大きい
  • サプライヤーも小ロット対応で割高請求をしがち

集約購買の4ステップ

発注実績を洗い出し、ABC分析を実施

  • 年間発注件数・金額ベースでランク分け
  • “Cランク品”を抽出(全体の7〜8割の件数、1〜2割の金額)

類似・共通部品の統合ルールを決定

  • 材質・寸法・用途が近い部品をまとめて汎用品化
  • 設計段階から「まとめる発想」を取り入れる(共通化設計)

発注タイミングとロットを見直す

  • 毎週発注 → 月次または四半期発注に
  • “1回の発注量”を増やすことで、単価引下げの交渉材料に

まとめ先のサプライヤーを再選定

  • 小規模分散先 → 統合
  • 大手への一本化 or 地場の専業に絞ってコスト低減

実例:装置メーカーの“C品目”整理

  • 対象:スペーサー・アングル材・汎用ネジなど、560品目
  • Before:サプライヤー 54社、発注件数 1,200件/年
  • After:品目数を390点に集約、サプライヤー28社に統合
  • 結果:年間で発注件数30%削減、平均単価8%ダウン、納期遅延も半減

ツール活用ヒント

  • 購買管理ソフトで“発注点数と頻度”を自動抽出
  • ExcelピボットでABC分析+月次統計が可能
  • 設計BOMと連携することで、設計段階から集約設計も実現

まとめ

調達改善の鍵は“大口”だけではありません。 「見落とされがちな少額発注」をまとめるだけで、意外なコストと手間の削減が可能です。

集約購買は、購買部門だけでなく、設計・生産計画・サプライヤーと一体で進める改善施策。 まずは“発注実績を見える化”するところからスタートしましょう。


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