はじめに
「年間発注件数は多いのに、コスト削減効果が見えない」 「一品一様の少量発注ばかりで、管理も大変」
こうした悩みは、多品種少量の部品を扱う製造業にとって日常茶飯事です。 この“ロングテール発注”を見直し、「まとめる力」でコストと手間の両方を削減するのが、集約購買です。
本記事では、ロングテール発注の問題点を洗い出し、集約によるコスト改善の進め方と事例を紹介します。
ロングテール発注とは?
- 発注金額は少ないが、点数や件数が多く、管理に負担がかかる部品群
- 例:治具、スペーサー、ネジ、カバー、小型電装品など
- ABC分析でいう「Cランク品目」に該当する
問題点
- 1件あたりの単価が高止まり
- 発注や納期フォローの業務負荷が大きい
- サプライヤーも小ロット対応で割高請求をしがち
集約購買の4ステップ
① 発注実績を洗い出し、ABC分析を実施
- 年間発注件数・金額ベースでランク分け
- “Cランク品”を抽出(全体の7〜8割の件数、1〜2割の金額)
② 類似・共通部品の統合ルールを決定
- 材質・寸法・用途が近い部品をまとめて汎用品化
- 設計段階から「まとめる発想」を取り入れる(共通化設計)
③ 発注タイミングとロットを見直す
- 毎週発注 → 月次または四半期発注に
- “1回の発注量”を増やすことで、単価引下げの交渉材料に
④ まとめ先のサプライヤーを再選定
- 小規模分散先 → 統合
- 大手への一本化 or 地場の専業に絞ってコスト低減
実例:装置メーカーの“C品目”整理
- 対象:スペーサー・アングル材・汎用ネジなど、560品目
- Before:サプライヤー 54社、発注件数 1,200件/年
- After:品目数を390点に集約、サプライヤー28社に統合
- 結果:年間で発注件数30%削減、平均単価8%ダウン、納期遅延も半減
ツール活用ヒント
- 購買管理ソフトで“発注点数と頻度”を自動抽出
- ExcelピボットでABC分析+月次統計が可能
- 設計BOMと連携することで、設計段階から集約設計も実現
まとめ
調達改善の鍵は“大口”だけではありません。 「見落とされがちな少額発注」をまとめるだけで、意外なコストと手間の削減が可能です。
集約購買は、購買部門だけでなく、設計・生産計画・サプライヤーと一体で進める改善施策。 まずは“発注実績を見える化”するところからスタートしましょう。
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