調達改善⑥ 内製か外注か?“適正化判断”のフレームワーク

はじめに

製造業における重要な意思決定のひとつが、「この工程は内製すべきか?それとも外注か?」という判断です。

価格、納期、品質、そして技術継承──多くの要素が絡むこの判断には、論理的なフレームワークと実例による裏付けが必要です。

本記事では、内製と外注の判断基準を整理し、判断を誤らないための実務ポイントを解説します。


判断基準①:コア技術かどうか?

  • 技術的な差別化要素 → 内製すべき
  • 市場競争力に直結しない汎用技術 → 外注も検討可
  • 例:モーター制御技術(内製)、汎用ブラケット製作(外注)

判断基準②:ボリュームとコスト構造

  • ロットが少ない=外注の方が割高になる可能性大
  • 設備償却できる水準に達するなら内製化も合理的
  • 試作段階 → 外注 量産段階 → 内製化の選択もあり

判断基準③:納期・品質・リスク管理

  • 外注の場合:納期遅延・不良時の対応力が問われる
  • 内製であればコントロール可能だが、固定費負担あり

実務で使える適正化判断のフレーム

項目内製が有利外注が有利
技術機密性高い低い
コストロット大・加工単純ロット小・変動対応必要
品質管理高精度が必要汎用品でOK
設備負担減価償却済投資余力なし

実例:A社の加工工程再編

  • 切削工程を外注から内製化 → 不良率1.8%→0.2%、納期短縮(リードタイム1/2)
  • 反対に塗装工程は外注化 → 工場スペース再配置・管理工数削減

まとめ

「内製か外注か」は、感覚で決める時代ではありません。

“技術力・コスト構造・事業戦略”の3軸から多角的に評価し、自社にとっての“適正化”を導き出す思考フレームを持つことが鍵となります。

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