調達改善⑨ グローバル調達のコスト比較術(国内vs海外)

はじめに

「海外の方が安い」は、本当に正しいでしょうか?

調達単価だけで判断すると、海外調達が有利に見えるかもしれません。しかし、実際には為替リスク・輸送費・関税・品質・納期トラブルなど“見えないコスト”が多く、**TCO(Total Cost of Ownership:総保有コスト)**で比較することが重要です。

本記事では、グローバル調達を判断するためのフレームとコスト要因の見える化手法を紹介します。


国内調達と海外調達の主なコスト要因

項目国内調達海外調達
調達単価○(一見安い)
輸送費○(低い)△(国際輸送+保険)
関税・通関費○(不要)△(発生・変動)
為替リスク△(円安でコスト上昇)
リードタイム○(短い)△(長く、不確実)
品質・歩留まり○(安定)△(国によって差)
コミュニケーション○(容易)△(言語・文化差)

TCOで見るべきコスト全体像

  1. 輸送コスト(国際運賃、保険、倉庫料)
  2. 税金・関税(HSコードの取り扱いに注意)
  3. 為替差損リスク(長期契約ではヘッジを考慮)
  4. 品質コスト(不良対応・再発注・検品)
  5. 在庫コスト(リードタイムが長く、余剰が発生)
  6. 管理工数(監査・現地視察・トラブル対応)

これらを見える化・数値化し、単価ではなく総コストベースで国内と海外を比較することが合理的判断に繋がります。


実例:海外調達が逆転したケース(あくまでも参考値)

  • 電子部品の海外調達で単価は30%安かったが、輸送費と不良対応のコスト増で実質は5%増
  • 国内サプライヤーにVE提案を依頼 → 単価15%減+リードタイム短縮に成功

まとめ

価格だけでは判断できないのがグローバル調達。 TCOの視点で“本当に得か?”を比較するフレームを導入することで、調達戦略はより安定し、持続可能なコスト改善に繋がります。

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