はじめに
「コスト削減」と聞いて、“価格を下げること”や“安い部品への置き換え”を思い浮かべる人は多いかもしれません。しかし、本当に必要なコストの見直しとは、「その機能に本当にそのコストが妥当なのか?」という視点が必要です。
本記事では、VE(Value Engineering)の理論に基づき、コスト削減の本質を「価値=機能/コスト」という基本式から紐解きます。
VEの基本公式とその意味
価値(Value) = 機能(Function) ÷ コスト(Cost)
この式が示すのは、単にコストを削るのではなく、「価値を維持または向上させながら、不要なコストを削減する」という本質的な改善アプローチです。
「値引き」と「価値向上型コストダウン」の違い
- 値引き:顧客満足に関係なく価格だけ下げる → 利益圧迫の危険
- VE的削減:不要な機能を削り、必要な機能に絞り込む → 品質や機能は維持
実例:部品見直しによる価値向上
ある機械部品で、材質を見直すことで20%のコスト削減を実現。
- 【従来】:高耐熱素材 → 高価格 → 実使用温度ではオーバースペック
- 【改善後】:中耐熱素材+放熱設計 → 同等の性能を確保しながらコスト削減
VE導入の基本ステップ
- 機能定義(顧客にとって本当に必要な機能は?)
- 機能評価(その機能にどれだけのコストが使われているか)
- 代替案検討(異素材や構造変更など)
- 効果算出(コスト・品質・生産性)
まとめ
VEは単なる「安く作る手法」ではありません。機能とコストを分解し、本質的に価値あるものに集中するための“思考法”であり、競争力のある製品づくりの土台となります。
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