VE・VA実践③ 図面改善VEとアッセンブリVEの違いと進め方

はじめに


VE(Value Engineering)は、通常の設計・開発プロセスの中で個別に実施される改善活動として知られています。しかし、VEには「協業VE」という形式も存在し、これは多部門のメンバーが集まり短期間で集中して改善を進める手法です。
特に設計部門と調達部門(仕入先を含む)を交えて活動は実践では特に有効。
本記事では、図面改善VEとアッセンブリVEの違いを明確にしつつ、VE活動の進め方や成功させるためのポイントを解説します。


VEとVEカンファレンスの違い


区分 図面改善VE活動 アッセンブリVE
対象 個別部品 設計段階 アッセンブリ全体 設計初期段階
期間 短期活動 長期活動
メンバー構成 設計中心 多部門混成(設計・購買・製造・営業等)
成果物 設計小変更案、コスト提案 代替案リスト、削減額試算、意思決定資料


VE実践活動の進行ステップ

  1. 対象テーマの設定:例)新製品Aの原価構成入手、コスト構成分析
  2. 事前準備:図面、原価表、部品表、顧客要望資料の共有
  3. 機能系統図の作成:関係者が目的と手段の構造を共通理解
  4. 代替案の創出:アイデアブレスト → アイデアカードの使用
  5. 効果試算と評価:コスト、機能、工数、納期への影響を評価
  6. 成果報告と承認プロセス:上層部または企画会議への提出

成功させるための3つの工夫

  1. ファシリテーターの明確な役割
    o 話が脱線しないよう進行管理
    o 発言の偏りを調整(購買だけで結論が決まらないように)
  2. 異分野メンバーの積極投入
    o 現場担当者、営業、品質保証、仕入先など、“異なる視点”からの気づきが新しい代替案を生む
  3. 評価指標の事前設定
    o 削減額、機能維持率、開発工数の増減など、評価軸を明示しておくと意思決定がスムーズ

実例:家庭用プリンターのVEカンファレンス
• 用紙排出トレーにステンレス材を使用 → 機能系統図で“外観性を保持する”以外に意味がないと判断「機能:用紙を排出する」
• 樹脂素材+表面シボ加工に変更 → コスト20%削減、意匠性維持
• 開発・購買・営業が参加したことで顧客視点と原価視点の両立が可能に


まとめ


機能本位によるVE実践活動は、VE活動を“プロジェクト型”に展開し、短期間で高成果を狙う手法(図面改善VE)です。通常のVE活動と両立しながら導入することで、設計段階だけでなく会社全体の原価意識が高まります。
VEの導入フェーズや仕組み化に悩んでいる企業にとって、VE実践形式は一つの 大きな打開策となるでしょう。

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