設計原価低減④ 初期段階でのコスト見積り精度を上げる3つの技術

はじめに


設計初期の「ざっくり見積り」は、プロジェクト全体の意思決定や部品選定に大きく影響します。 しかしその見積り精度が低いままだと、後工程での手戻りや原価乖離が発生するリスクも。
本記事では、設計段階での“おおまか見積り”を“根拠ある見積り”に引き上げるための3つの技術とツール活用法を紹介します。


精度を上げる3つの技術


① 部品表(BOM)ベースでの積算精度アップ
• 設計構想段階で「暫定BOM(仮部品表)」を作成
• 材質・寸法・加工法などから概算単価を積み上げ
• 粗利率・共通部品展開も早期に反映可能
ヒント:過去の標準部品単価データベースと紐付けすることで“ざっくり”から“積算”へ


② 3Dモデルを活用した自動積算(CAD連携)
• CAD内の形状・体積・表面積データから、材料費・加工費を自動算出
• 面積が多ければ「表面処理」、穴数が多ければ「加工工数」も見積対象に
• ツール例:SolidWorks Costing、Autodesk FeatureCAM など
断面数・複雑さ・曲げRなども“難易度指数”として反映できる


③ 類似品ベースのAI・ツール活用
• 過去に納入された部品の構造やコスト実績から類似値を導出
• 「前回と比較して10%複雑」「加工工程が1つ追加」などの自動補正が可能
• ツール例:PriceInfo、aPriori、原価見積AIツール
データ件数が多い会社ほど制度が高まり、設計者単独でも利用可能に


精度の高い見積りがもたらす効果


• 量産移行後の原価差異(標準vs実績)が縮まる
• 早期VE提案(工法変更・材質変更)にも役立つ
• サプライヤーとの交渉がスムーズ(相場感あり)


まとめ


「とりあえずこれで設計」では、あとでコストが跳ね上がる可能性も。
設計初期こそ、“見積りの根拠”を持ち、“先読みできる設計者”が求められています。
3つの技術──BOM積算・3D連携・類似品推定──を組み合わせて、“勘”から“データ”へと進化する見積設計を実現しましょう。

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